高橋一仁の漫画「パーフェクトヒューマン」ゆる〜い感想レビュー

パーフェクトヒューマン(1)

電子書籍ストアだと売上上位になっていたりする「オーダーメイド」を描いた高橋一仁先生の新作が「パーフェクトヒューマン」だ。カバーに惹かれて衝動買いをしてしまった。容姿、性格、頭脳も完璧といった18歳の少年:世良優人が主人公。

だが、この世良優人には世間に明かせない大きな秘密がある。

そして、主人公らしからぬゲスい行為をしたりする。1巻しか発売されていないが斜め上を行く設定で面白いと感じた。「パーフェクトヒューマン」と聞くとオリラジを頭に真っ先に思い浮かべる人も多いと思うが違うので要注意。

パーフェクトヒューマンの主人公:世良優人とは?

容姿、性格、頭脳など全て常人を超えているようだ。漫画の冒頭で彼はプロボクサーとして登場する。そしてワンパンKOといった快挙で世間から注目を集めることになる。

ネタバレをしてしまうが世良優人という人間。実は一人ではない。まったく同じ容姿をした人間が5人で世良優人なのだ。

5人は個々に得意分野があるようで適材適所で入れ替わり世良優人といった一人の人間に見せている。いつどうやって入れ替わっているのかは描写はされないが上手い具合に入れ替わっているのだ。これは斬新な設定だと思う。

そして、個々に性格も若干違うようだ。
5人の世良優人はアカ、アオ、シロなど色で呼び合っている。特にクロと呼ばれる世良優人はゲスい奴だ。彼らがどういった経緯で誕生したのか1巻で語られることはないが大きな秘密がありそう。物語が進むにつれて解明してくるだろう。

大巨匠の映画監督も引退に追い込む世良優人

この漫画では大巨匠と呼ばれる映画監督:板野マレニといった人物が登場する。彼が引退を決意する件は意外と面白かった。

孫娘に誘われ、美大の演劇をみた監督。どうやら本来の主役は演劇直前に事故にあった模様。急遽、代役になったのが世良優人だ。演目は多重人格者の物語で主人公は5人の人格に悩まされるといったもの。それを見事に演じきった世良優人。

監督は世良優人を天才といい役者にしようとしたそうだが断れる。そのショックから監督を引退するといった経緯になっている。

監督は各人格を演じた世良優人が本当に別人に見えたそうだ。でも…それもそのはず、5人の世良優人が入れ替わって演じているのだから別人に見えて当たり前だろう。この件は監督が可哀想でしょうがなかった。と言うより監督の「天才でした」の言い方が妙にツボった。

世良優人、複数説を考える人間の登場

1巻終盤でようやく完璧過ぎる人間:世良優人に疑問を持つ人間が現れる。ある雑誌社のエースである浦部といった男だ。彼は数々のスクープを扱ってきた人間だそう。そんな彼が世良優人の嗅ぎ回るようになる。

この浦部といった男が世良優人の秘密を知り、世間に公表するのか、それとも世良優人達に消されるのか見所の一つと言える。

さらに1巻の終盤では4人の世良優人vs1人の世良優人といった構図になる。そして最後に意味深な一言を告げて終わる。

「5人で一人を誓いあった、あの日の事を…」

次巻では世良優人誕生の秘密が明かされそう。これは読むしかない!


パーフェクトヒューマンは設定が面白い。
さらに主人公は王道ヒーローではなくダークヒーロー的な感じ。いや、5人の世良優人の中にはクズ、ゲスな世良優人もいる。隣町のカタストロフ同様に続きが気になる漫画を見つけてしまった…といった感じだ。

あと、この漫画、後書きも面白い。

この漫画の根底にあるもの。
作者さん、こんな想いを蓄積してたのか…と少し笑ってしまった。この漫画を購入したら「あとがき」にも注目して欲しい。プッって笑ってしまうだろう。

パーフェクトヒューマン(1)

パーフェクトヒューマン

原作・著者高橋一仁
価格648円

世良優人、18歳。帝都大学主席合格の頭脳にして、天才プロボクサー。容姿も性格も完璧で、世間から注目を集める彼の恐ろしい秘密――それは5人の同じ顔の男が一人の人間を演じているという事実だった。世を欺き欲望のままに生きる彼らの真の目的とは―――。